
一口に「保険」といっても、まだご自身で加入されたことがない場合、これまで家族が主体となって保険を管理していた場合には「事故や病気のときに補償が受けられるのはわかるけど、それぞれの違いはよくわからない」という人も多いでしょう。そこでこの記事では、保険の基礎知識、基本情報を詳しくご紹介します。
保険とは?基本情報をおさらい
保険とは、将来的に発生が予測される事故や危険に備えて、加入者が一定の保険料を支払い、備える制度です。被害が発生した際には、集まった資金から保険金を受け取れる互助的な仕組みとなっています。
保険と貯蓄の違い
保険と貯蓄の違いは、貯蓄は自分が貯めた金額までしか利用できないのに対し、保険は加入したときからすぐに補償を得られる点にあります。また、一般的に貯蓄金額が多くなるまでには年月がかかり、途中で事故などに遭った場合に対応仕切れないことが多いでしょう。
一方で保険は、加入と同時に大きな補償が手に入るため、リスクに備えるには貯蓄より保険の方が適しているといえます。保険は四角、貯蓄は三角といわれることがありますが、これは保険が加入時点で大きな補償が得られ、それが継続していくのに対し、貯蓄は期間が経つにつれて貯蓄額が増え、右肩上がりの三角形となることからきています。
公的保険と民営保険
日本は国民皆保険の制度を導入しており、すべての人が公的保険(医療保険制度)に加入することが義務づけられています。国民全員が保険料を支払うことで、持病があり定期的に病院に通わなければならない場合や、入院・手術などで医療費が高くなった場合にも、決まった負担割合以上には支払いの義務が発生しないように考慮されているのです。
しかし、公的保険の目的はあくまでも生活の補償であり、経済的リスクのカバーではありません。そのため、たとえば入院した際の差額ベッド台や食事代などは公的医療保険の対象外となり、全額自己負担となります。また、日本人の三大疾病はがん・脳疾患・心筋梗塞といわれていますが、がんと心疾病ではおよそ20日程度、脳血管疾病は90日程度の入院期間が必要となります。
医療費は3割負担に抑えられるもののこれらの疾病の治療費は高額となるうえ、入院期間が長くなればなるほど、差額ベッド台や食事代、先進医療による自己負担分の金額は膨れ上がります。こうした負担をカバーするのが民営保険です。
民営保険の補償内容は保険会社、商品により異なりますが、医療保険では日帰り入院や三大疾病による長期入院、通院、手術などを補償できるプラン、女性特定手術を追加したプラン、先進医療に特化したプランなど、さまざまなものがあります。
医療保険のほかの民営保険には、自動車事故に備える自賠責保険、地震または地震が原因となった火災による家屋、家財の損害に備える地震保険などがあります。
民営保険の基礎知識!分類について知ろう
民営保険は大きく分けて3種類に分けられます。
第一分野(生命保険)
人の生死に関して保険金が支払われるのが生命保険です。生命保険には、定期保険・終身保険・養老保険・個人年金保険などがあります。
第二分野(損害保険)
第二分野は損害保険であり、事故などによって発生し得るリスクに備える保険です。損害保険には、自動車保険・火災保険・海上保険・地震保険・傷害保険・旅行保険・賠償責任保険・貨物、運送の保険・興行中止保険などがあります。
第三分野
第三分野はケガや疾病、介護に備える保険で、損害をてん補することが目的です。具体的には、傷害保険・医療保険・がん保険・介護保険・所得補償保険などがあります。
保険の貯蓄型と掛け捨て型
民営保険は貯蓄型と掛け捨て型があり、それぞれ特徴が異なります。特徴をしっかり理解して、どちらがご自身に適しているかを判断しましょう。
貯蓄型保険
貯蓄型保険は、満期には満期金、解約時には解約払戻金として支払った保険料の一部が返ってくる保険です。掛け捨て型に比べて保険料が高いものの、リスクに備えつつ満期金・解約払戻金を貯蓄のようにとらえることもできます。
満期金や解約払戻金を子どもの進学費用に充てる、結婚資金の援助に使用するなどの方法もとれるでしょう。ただし解約の時期によっては解約返戻金が支払った保険料を下回る、解約返戻金が受け取れないといった場合もあるため注意しましょう。
掛け捨て型保険
掛け捨て型保険は、満期金や解約返戻金がない、もしくはあっても少額の保険です。たとえば「万が一自分が事故や病気で死んでしまった場合に、遺族に不自由がないようにしたい」といった場合、貯蓄型保険では保険料が高額になってしまいます。死亡補償額を大きくすると、貯蓄型保険では割高となるのです。
しかし、掛け捨て型保険では、積み立て型に比べ保険料が安く、まとまった補償も準備しやすくなるでしょう。掛け捨て型の保険は補償期間が定められているのが一般的ですが、医療保険やがん保険のなかには終身タイプもあります。
まとめ
今回は、知っておきたい保険の基礎知識について、詳しく解説しました。「保険のことはよくわからない」という人も多くいますが、そのままにしておいても勝手に詳しくなれるわけではありません。能動的に保険についての知識を深めていきましょう。もしも重大なリスクが発生した際にも、自分や家族が適切な補償が受けられれば、経済的に安定し、安心感を得られるはずです。